みなさん各大学や社会人チームなどラクロス女子が沢山いることをご存知ですか?
ここでラクロスの競技を知らないという方のために、簡単にご紹介します。
日本女子ラクロスは木製や金属製のクロスと呼ばれるスティックを使い、シャツ、スカートがユニフォームです。ゴーリー(ゴールキーパー)は防具を装着し、その他のプレイヤーはマウスピースやアイガード、グローブを装着しています。
プレイヤーの体に対するチェックはルール違反となります。
ただ相手スティックに自分のスティックを打ち当てパスやシュートを阻止する攻撃は許されています。
ルールは1チーム12人。1試合は25分×25分でハーフタイムが10分。
フィールドの大きさは横110m×横60mとサッカーコートより少し小さいぐらいです。
*男子ラクロスと女子ラクロスは、プレイヤーの人数やルールも異なる全く別物です。
この広いフィールドを走り回る持久力、ボールを素早く投げたり受け取ったり戦術を瞬時に考える瞬発力と、ハードなフィールド球技です。
水泳女子に引き続き、今回はラクロス女子の「食」の悩みにスポットをあててみました。
まず持久系+瞬発系スポーツのラクロスに必要な栄養素とは
糖質 | 持久力に必要なエネルギー源 | ごはん、パン、うどんなど |
ビタミンB1 | 糖質の代謝を助ける | レバー、豆類、緑黄色野菜、玄米、強化米 |
タンパク質 | 瞬発力を高める為の筋肉と関節の強化 | 肉、魚、卵、大豆・大豆製品、牛乳・乳製品、 |
ビタミンB6 | タンパク質の代謝を助ける | 赤身の魚、レバー、卵、 緑黄色野菜 |
カルシウム | 骨の形成や強化、筋肉収縮を助ける | 牛乳、ヨーグルト、チーズ、骨ごと食べられる小魚、 コマツナ、ひじき |
◎朝の練習がある時の食事
朝起きて何も食べず練習をしてしまうと、集中力の低下でケガのリスクも高くなります。
脳のエネルギーである糖質を補給してから朝の練習に向かいましょう。
朝食後すぐ(1時間程度)に練習をする場合
エネルギー源になる炭水化物主体のメニューで、かつ消化の良いものにしましょう。
卵雑炊、トマトリゾット、お茶漬け、バナナ、ヨーグルトなど
*朝時間がなく電車やバスの移動中にしか摂れない時は、コンビニでも手軽に買えるエネルギージェルやフルーツのミックスジュース、バナナなどでエネルギーを摂りましょう。
練習後は上記の必要な栄養素をしっかり取り入れたバランスの良い食事を心掛けしましょう。
*バランスの良い食事内容は前回、紹介した水泳女子を参考に。(https://ranrun.jp/foods/athletefoods-161108)
◎シーズンに向けて身体を絞りたい
本当に身体を絞る必要がありますか?
見た目やお洒落したいという理由だけで体重を落としたいと安易に考えていませんか?
女性アスリートの望ましい体脂肪率は競技により違いますが12~22%と言われています。
またBMI(体格指数)が18.5以下の方は痩せすぎの範囲になります。
BMI(㎏/m²)=体重(㎏)÷身長(m)÷身長(m)
ラクロスは持久力、相手とのコンタクトスポーツでもあります。
必要以上に絞りすぎてしまうと競技中のハードな動きについていけない、免疫力の低下で体調を崩しやすく貧血や骨折等の問題も出てきます。
何より一番怖いのは無理な食事制限で月経不順になってしまったり、無月経になったりと月経障害がおこることです。
月経異常になると・・・
- 骨密度の低下で骨折しやすい。
- ホルモンバランスが乱れて肌荒れしやすい
- イライラしやすくなる
- 妊娠しにくくなる
・・・・など
シーズンオフ中に、あまりにも体重が増えてしまって減量をする場合でも無理のないよう1ヶ月に体脂肪1㎏を目安にしてみましょう。
【減らすポイント】
- アルコール飲料・・・身体に必要な栄養素をほとんど含みません。
- 脂肪・・・お肉の脂身や洋菓子、スナック菓子、揚げ物や中華料理、マヨネーズを使った理は料理は減らしましょう。
豚のばら肉→赤身のヒレ肉
鶏のもも肉→ささ身や胸肉の皮なし
中トロ→赤身まぐろ
マヨネーズ→ポン酢やノンオイルドレッシング
- 糖分・・・砂糖やハチミツのような糖分が多い物は控えましょう。
糖分を含むジュース→お茶や水
- 摂取カロリーを抑えてもタンパク質やビタミン、ミネラルは十分に摂りましょう。
お肉やお魚などの主菜(メイン料理)は脂の少ない部位を選んで蒸す・焼くなどの調理で油を抑えましょう。
- ビタミン、ミネラルは色の濃い緑黄色野菜を中心に、わかめやひじきなどの海藻類、きのこ類などを上手に利用しましょう。
- 糖質を減らしすぎてしまうと、脳のエネルギーや運動時のエネルギーが不足し脂肪からエネルギーを作りにくく(痩せづらく)なってしまうので、毎食、最低ご飯1杯(150g)は摂りましょう。
早食いせず、良く噛んで食べましょう。
◎試合前日や当日の食事のポイント
前回の水泳女子のコラムと重複しますが、試合が近づいてくると緊張で胃腸の働きも低下しています。
精神的ストレスで食欲も落ちたりするので消化吸収の良い食べ物にし、身体のコンディショニングを整えるためにタンパク質は低脂肪に変えて行きましょう。
またストレスで体内のビタミンCの必要量が増えるため、果物やビタミンCを多く含む野菜も選んで食べましょう。
もちろん持久力に大切な糖質メインの食事で当日のエネルギーをしっかり溜めていきましょう。
糖質不足は、瞬時に戦術を判断する能力低下にも繋がります。
【注意ポイント】
①生ものは避ける 例)お刺身やレア肉
②刺激物は避ける 例)唐辛子など
③脂質が多いものは避ける 例)とんかつや唐揚げなどの揚げ物、デニッシュパンなど脂質が多いパン
④食物繊維が多い食べ物は避ける 例)ごぼうやれんこんなどの根菜類
⑤早食い
⑥食べ慣れないものは避ける
試合当日
【朝食】
消化の良い糖質を中心に、脂質が少ないメニューで、試合開始時間3時間前には食べ終わるようにしましょう。
胃に食べ物が残っている状態だと、食べ物を消化するために体力を使ってしまい、パフォーマンスにも影響してきます。
メニュー例
主食 ごはん、パン、うどん
主菜 ハム、ノンオイルツナ、ゆで卵など
副菜 温野菜(かぼちゃ、にんじん、ブロッコリーなど)
汁物 コンソメスープ、ポタージュスープなど
その他 果物(オレンジやバナナ)、100%オレンジ・グレープフルーツジュース
試合開始2時間前になってしまう場合
胃に食べ物が残らないように、おにぎりなら2個、あんパンなら1個、カステラやバナナにしましょう。
試合開始1時間前になってしまう場合
ゼリー飲料や100%ジュース、バナナなどの軽食に留めておきましょう。
*注意*
試合開始30分前を切ってからあめやチョコレート、砂糖、スポーツドリンクなどの糖をたくさん含む食品を大量に摂ってしまうと血糖値の急激な上昇によりパフォーマンスに影響が出ることがあります。摂取する場合、1回に摂る量は砂糖で大さじ2杯までを目安にしましょう。
【競技中・競技後すぐ】
競技中やハーフタイムに、黒砂糖や水飴や砂糖を使ったキャンディー、エネルギージェル、ブドウ糖のタブレットなどでGI値の高い食品で素早くエネルギーチャージしパワーを復活させましょう。
1日に何試合もある場合も、1試合目の終了後すぐに失われたエネルギーを素早く補給するために、消化良く手軽に摂れる、おにぎりやバナナ、エネルギージェルなどを活用しましょう。
◎試合後の打ち上げにおススメな料理
シーズン中で毎週のように連戦だったり、1日に何試合もあったり、気温が高く発汗の量が多かったり・・・・
こんな時は身体の疲労はもちろん内臓も思っている以上に疲労しています。
消化に時間がかかる脂質の多い物や、ガッツリお肉は疲労回復に逆効果!
打ち上げは消化よく内臓にも負担をかけない、かつ栄養たっぷりなメニューで疲労回復をしましょう。
これからの時期は、お鍋や、おでんメニューがおススメです。
お鍋には消化の良い魚介類のタンパク質、白菜やねぎ、人参や白菜、青菜などビタミン・ミネラルの野菜もたっぷり入っています。
〆には、ごはんを入れた雑炊やうどんで糖質の補給もバッチリできます。
おでんにも、がんも、厚揚げ、はんぺん、つみれなど消化の良いタンパク質も多く女性にはうれしい鉄分も含みます。
ただ、おでんには緑黄色野菜をはじめとする野菜とエネルギー回復の糖質が不足してしまうのでプラスしましょう。
ビタミン、ミネラルをしっかり摂ることでラクロス女子が気になる日焼け対策・改善もできますよ。
ただスタミナをつけたくて、ガッツリお肉を焼き肉屋さんで食べたい!
そんなラクロス女子のみなさんも多いはず!?
すぐに試合が控えてない時期、シーズン最後の打ち上げであればOK!
ただ焼き肉屋さんへ行くとついつい食べ過ぎてしまう、脂質が多いメニューもあるので注意しましょう。
焼き肉屋さん・BBQでおススメなメニュー
レバー、ハツ、ミノなどの内臓系・・・脂質が少なくビタミン、ミネラルが多い。
鉄分が多いので、貧血改善や予防に。
ヒレ肉などの脂質が少ない赤身肉・・・タンパク質、鉄分。
サラダ、サンチェ、ナムル・・・緑黄色野菜のビタミン、ミネラル。食物繊維。
ビタミンCは日焼け対策に。
ビビンバやクッパ・・・主食は食べ過ぎの傾向になりやすいので、野菜も一緒に摂れるもので。
キウイフルーツ、パイン・・・お肉の消化を助ける。
<プロフィール>
土屋里恵(つちや・りえ)
Ries Factoy代表
アスリートフードマイスター1級
7月11日生まれ 千葉県出身
Ries Factoy(http://ries-factory.com/)とは、
「私達の身体は食べたもので出来ています」
競技パフォーマンスの向上、怪我予防は勿論、日常生活を健康に生き生きと過ごせるように食事やボディーバランスからサポートを目指してます。
現在もフィットネスクラブでのインストラクターは勿論、出張パーソナルトレーナー、アスリートフードマイスターとして活動中。
プライベートもシリアスランナーとしてフルマラソン記録向上目指して頑張っています。