心から寄り添えるアスリートに

それは大学卒業目前に起きた。
日本代表候補合宿中の2月、大竹選手は前十字靭帯損傷という大怪我を負ってしまう。
コンタクト競技ゆえの接触プレーによる怪我。
「避けようのない怪我だから仕方なかった」
そう語る大竹選手の表情はサバサバしている。
東京五輪出場という目標は目前で断たれてしまったが、既に次の目標に向かって踏み出しているからだろう。
怪我をした時は、(プロになるという)自分の選択は正しかったのか不安になったと本音を明かしてくれた。
しかし、「これは自分に課された試練」と考えた。
マネジメントするUDN SPORTSの支えがあり、前を向くことができたと話す。
「スポーツはうまくいくことばかりではありません。うまくいかないことも、目標に手が届かないことも含めてスポーツだと思います」と言い、「そこから再起して成果をあげることでドラマが生まれる」とグランドの外でも活躍することはできると話す。
そのドラマが、他の人にも勇気を与えることができるからだ。
常に新しいことに挑戦し続けてきた大竹選手。
プロという選択をしたことで、先駆者として後輩へ新たな道を示していきたいと意気込む。
ラグビーの魅力
ラグビーの魅力は多様性と大竹選手は話す。
15人制ラグビーでは様々なポジションで役割を持った選手たちが、ひとつの目標に向かって戦う。
背の高い選手もいれば低い選手もいる。
体重の重い選手もいれば軽い選手もいる。
多様な選手がそれぞれの特性を活かし、共に戦う魅力がある。
7人制ラグビーの魅力はなんといってもそのスピード感だ。
15人制は40分ハーフとプレー時間が長いが、7人制は7分ハーフと短いため、グランドをとにかく走り回る。
「初めて観る人にもルールがわかりやすいので楽しめますよ」と教えてくれた。
五輪大会は7人制ラグビーなので、7分ハーフの試合が1日中行われ、多くの国が参加する。
スピーディーな展開、トライの攻防、個人技など競技の魅力を知るチャンスだ。
今回はコロナ禍のため難しいが、通常の世界大会では観客たちが様々な国の国旗をフェイスペイントするなど、お祭りのような賑わいでとにかく楽しい空間ができあがるそうだ。
今後の目標
大竹選手の直近の目標は、筋力を戻しジョブを開始すること。
変な癖をつけないように注意しながら、筋トレに取り組んでいる。
自身のプレーの魅力は「思いっきりの良さ」と自負する。
復帰後の試合を観戦するのが楽しみだ。
大竹選手は大きな怪我をしたことで、大きなものを得た。
同じ怪我をした先輩が心から寄り添い、支えてくれた。
一緒に涙してくれた友人や家族たちの支えも大きかった。
誰かが辛い思いをしていたら、心から寄り添えるアスリートになりたいと話す。
「怪我をしたことで、人間力が上がったと思う」とはにかみながら笑みをみせた。
スポーツ女子へのメッセージ
コロナ禍でスポーツの意義が問われています。
スポーツをする人、観る人、支える人、スポーツに関わる人みんなで、「スポーツの力」を通しできることを共に頑張りましょう!
<プロフィール>
大竹 風美子(おおたけ・ふみこ)
所属 東京山九フェニックス
1999年2月2日生まれ
172㎝ 71㎏
<日本代表歴>
2017年 北海道知事杯2017
2018年 ラグビーワールドカップ・セブンズ2018サンフランシスコ大会
2018年 第18回アジア競技大会(2018/ジャカルタ・パレンバン)
2019年 HSBCウィメンズセブンズセブンズワールドシリーズドバイ大会
2020年 HSBCウィメンズセブンズセブンズワールドシリーズシドニー大会
写真提供 株式会社UDN SPORTS
取材 RanRun編集部 Yuki Yanagi