みなさんは「福祉」と聞いて何を思い浮かべますか?
また、どのようなイメージがありますか?
社会福祉で活躍する若手を表彰する「社会福祉HERO’S TOKYO 2023」が2月27日(火)、東京・恵比寿にて開催されました。
「社会福祉ヒーローズ」は2018年に創設した賞で、介護や保育、障がい者支援などに従事する20代から30代の若手職員を対象にしています。
このイベントにはゲストとして井上咲楽さんがご登壇されました。
グランプリは【大分県】社会福祉法人 暁雲福祉会 丹羽信誠(にわ・しんじょう)さん
「福祉従事者」と「企業」の協働による障がい者雇用の拡大に挑戦

大分県の障害福祉サービス事業所「ウィンド」で、副施設長を務める丹羽信誠さんは、知的障がい者の福祉的就労と一般就労の実践に取り組んでいます。
過去に、従来では一般就労が難しいと言われた知的障がい者の雇用に取り組む「キヤノンウィンド株式会社」に福祉専門職として9年間在籍。
一人ひとりの障がい特性に着目し、「職域の拡大」「スキルマップの作成による視(み)える化」「合理的配慮の具体化」「障がい特性に配慮した治工具の検討・試作・導入」「アビリンピック(障がい者が技能を競い合う大会)への挑戦」をテーマに、福祉現場と全くフィールドの違う企業担当者と共に協力し合いながら、多くの雇用と就労定着に携わりました。
現在も「就労支援マネージャー」として「ウィンド」で、企業内実習や一般就労を果たした社員たちの就業定着に取り組んでいます。

常に心がけていることは、知的障がいのある社員の「可能性の広がり」と、その可能性を信じて就労支援に関わるチーム全員の「笑顔」です。
障がい特性を理解し、社員一人ひとりがどうすればもっとわかりやすく作業を理解し学ぶことができるのかを、「福祉従事者」と「企業」の協働によって考え続けた結果、障がい者が携わることのできる作業数を2種類から約60種類へと拡大。
加えて、知的障がい者の平均勤続年数※を超える高い就業定着率を実現しています。
「できるかもしれない」を「できる」に。
これまでの現場経験から、障がい者雇用において就職がゴールではなく、「働き続けられる環境を保障し続けること」が大事であると考え、「従来の枠を超えた<協働>を目指した福祉」に挑んでいます。
写真はアビリンピック大分県大会で選手と一緒の様子

「保育・子育て支援」「高齢者福祉」「障がい者福祉」「生活困窮者への支援」「社会的養護」「社会福祉協議会」など福祉のフィールドはさまざまです。
今回、多様な福祉分野で活躍されている若者を表彰する「社会福祉ヒーロー」のなかで、保育の分野で活躍されている竹谷真衣さんにインタビューさせていただきました。
またゲストとしてご登壇された井上咲楽さんからも、これから福祉を学ぶ学生への応援メッセージをいただきました。
お二人の話をご紹介したいと思います。
保育の現場で活躍する竹谷真衣さん(社会福祉法人聖愛学舎)

竹谷さんは、社会福祉法人聖愛学舎が運営する、東京都の稲城市の保育園「もみの木保育園 若葉台」と世田谷区の保育園「もみの木保育園 太子堂」の両施設で、“保育士アンバサダー”として保育の魅力を発信しています。
実は竹谷さん、以前はタレントとして活動していた経験があり、その経験を活かして保育に関わるオリジナルソングに合う振り付けを考案、自らレコーディングを行っています。

オリジナルの動画やダンスの制作のポイントは、職員の得意分野を生かすこと。
「子どもに主体性を求める今、保育士も同じように主体的に活動することが大切である」と言い、歌やダンスに限らず、美術や撮影などを得意とした職員を巻き込んで、職員に主体的に協力してもらっています。
また、職員のポジティブさが子どもの成長に重要と考え、園内では職員同士で保育という仕事の素晴らしさを語り合う時間を、意図的に作るようにしているそうです。

このような取り組みを通し、「子どもと遊んでいるだけ」というイメージの【せんせい】から、保育士は乳幼児期の専門職である【先生】というイメージに変える活動をしています。
ー(昭和女子大の学生なのですが)もみの木保育園は昭和女子大学との関わりはありますかー
あります!初等教育学科だと保育士や幼稚園教諭を目指すことができるカリキュラムがあるの
で、初等教育学科の生徒は実習に来たり、公開講座を行ったりしています。
ー保育士のお仕事をしていて、どんな時にやりがいを感じますかー
成長していくにつれて、幼少期の記憶が完全に残っているということはあまりないのかなと思います。でも記憶に残ることはなくても、0から子どもたちを支えていくことにやりがいを感じています。
毎日の成長、1年間の成長、人生…。
これから生きていくなかで必要なことを「0→1の関わり」でサポートしていくことに、とてもやりがいを感じます。
―タレント活動をしていらっしゃったとお話されていましたが、「保育士」の仕事をするうえで、その活動が役に立ったというような経験はありますかー
「自分にしかできない仕事ができる」ということですかね。
保育士って「1人の女優」だと思っているんですよ。
そこで、「女優」として「保育士」を演じてお仕事をしていることに、タレント活動の経験が生きているのではないかと思います。
ーこれから福祉の分野を学びたい!と思っている学生や今福祉の分野を勉強中の学生に向けて、何かアドバイスや応援メッセージをお願いしますー
福祉の分野は「人のため」の仕事です。
しかし、「人のため」だけではなく、それに加えて「自分らしさ」というものも大切にして欲しいと思います。
自分らしさを大切にしながらお仕事をすると、自分がキラキラする瞬間が訪れます。
自分を大切にしながら、自分らしさを発揮しながら福祉の仕事に取り組んでみてください。
頑張ってください!
介護の現場を訪問した経験があるタレントの井上咲楽さんに、学生へのメッセージをいただきました。

ーこれから福祉を学ぶ学生に応援メッセージをお願いしますー
福祉にすごく詳しいというわけではないですが、介護施設を訪問した時に、施設に通われている方にちょっと接しただけでも、私がすごく元気をもらいました。
施設に通われている方は人生経験が豊富なので、怒って言ってもらった一言にグッときたりしました。「自分が何かできることはないかな?」という気持ちで訪問したんですけど、逆に「もらうもの」が多くて、すごくびっくりしたことを覚えています。
ヒーローズの皆さんのように、ぜひ社会福祉の素敵なところを感じて、発信していただけたらなと思います。
頑張ってください。
これから福祉のことについて学んだり、実際に現場で活躍する学生のみなさん、また「福祉につ
いて知らなかった」という学生にも、ぜひご紹介したい内容の取材になりました。
この記事を読んで少しでも福祉に興味を持っていただけたら、とても嬉しいです。
これからの福祉を支えていく立場として、福祉の新たな可能性、改善点を見つけ出し、未来の
「社会福祉ヒーローズ」になっていただきたいと思います。
取材:RanRun 学生スタッフ 冨岡美桜(昭和女子大学)