トップアスリートへの取材を通して見えてきた「スポーツで培われる力」。
それをRanRunでは「人間力」と呼んでいます。
RanRunは、スポーツと学業を両立する女子学生の就職活動を応援するWebメディアとしてスタートしました。
しかし、記事を公開し始めると、思いがけないことが起こります。
それは、私たちが想定していなかった、スポーツと仕事を両立して頑張っている社会人の女性アスリートからの反応でした。
「女性アスリート向けの情報を発信してくれるメディアが少なかった。」
「女性ならではの視点の記事がうれしい。」
そんな声が編集部にも届くようになりました。
当時は、大会結果や競技ニュースを伝えるスポーツメディアはありました。
しかし、女性がスポーツを続けるための情報や、競技と仕事、健康、ライフスタイルを結びつけて伝えるメディアは、まだほとんどありませんでした。
学生だけでなく、社会人になっても競技を続ける女性たちも、同じように悩み、挑戦を続けていたのです。
RanRun公開前に、元日本代表女性アスリートによる講演を聴講する機会がありました。
参加者は民間企業に勤める人が多く、トップアスリートの競技経験やメンタルについて学べるものだと思っていました。
ところが、その日のテーマは意外なものでした。
「女性アスリートの無月経」です。
アスリートは健康体の代表格のように思っていた私は、女性アスリートの抱える健康課題についての話は、正直、驚きました。
これは、トップアスリートだけの問題ではありません。
スポーツに真剣に取り組む多くの女性に共通する課題なのだと感じました。

競技力を上げるための体づくりは大切ですが、女性の健康を守ることは、競技人生とその後の人生そのものを左右します。
女性アスリートを取り巻く環境を変えていかない限り、この課題は解決しません。
「この課題を社会に伝えてほしい。」
講演を聞きながら、私はそんなメッセージを受け取ったような気がしました。
大学に協力いただき、スポーツ女子1000人へのアンケートを実施したところ、月経に関する悩みを抱えている女子が多いことがわかりました。
これは私たちが発信すべき重要ミッションだと思いました。
スポーツ女子に伝えるべきヘルスリテラシーについて、婦人科医師への取材を進めるなかで、月経に関する話は家族であっても話しづらいテーマであることもわかってきました。

ひとりで悩みを抱えている人が多い。
婦人科医師を身近に感じることができる情報発信の必要性を感じました。
そしてRanRunでは、女性アスリートのヘルスリテラシー向上のために、「コンディショニング」と「スポーツ栄養」についての情報発信に力を入れることになったのです。
スポーツ栄養の企画では、東京家政大学の内野美恵先生やアスリートフードマイスターの土屋理恵さんなど、専門家にご協力いただき、栄養学を学ぶ学生とスポーツ女子をつなぐ企画を作りました。
レシピコンクールもそのひとつです。
学生たちが学んだ栄養学を、スポーツ女子のためのレシピという形で社会へ届ける。
「自分の学びが誰かの役に立つ」。
その経験もまた、RanRunが学生に届けたかった大切な学びでした。
ヘルスリテラシーやスポーツ栄養の情報発信が、学生だけでなく、仕事と競技を両立する社会人アスリートの皆さんとの新たな出会いへとつながりました。
その出会いが、RanRunを「スポーツ女子の就活支援メディア」から、「頑張る女性を応援するメディア」へと育ててくれたのだと思います。
RanRunの取材対象は、少しずつ広がっていきました。
学生アスリート。
トップアスリート。
実業団選手。
指導者。
管理栄養士。
医師。
研究者。
企業で働く女性。
そして、スポーツを入り口にしながら、「女性がよりよく生きること」を考えるテーマが増えていきました。
スポーツ栄養。
女性の健康。
キャリア。
働き方。
ウェルビーイング。
読者の声に耳を傾けるたびに、「こんな情報も必要なのではないか」と新しい企画が生まれました。
RanRunを育ててくれたのは、読者の皆さんです。
そして、この10年間で変わったのは、RanRunだけではありません。
社会も、女性の働き方も、スポーツを取り巻く環境も、大きく変化しました。
では、10年前に私たちが掲げた「スポーツを通して社会で活躍する女性を応援する」という思いは、どこまで実現できたのでしょうか。
次回は、データや専門家の意見も交えながら、この10年を振り返り、RanRunが次の10年で目指すことをお伝えしたいと思います。
