女性が安心して働き続けられる環境づくり。
国が目標を掲げて歩んできましたが、この10年でどれだけ実現されたのでしょう。
2015年、日本は「女性が活躍する社会」を本気で目指し始めました。
「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)」が成立した年です。
時を同じくして、私たちは「スポーツ女子の自分磨きを応援するWebマガジンRanRun」を立ち上げました。
あれから10年、未来を担う女性を育てることに私たちは貢献できたのでしょうか。
当時、私は経済出版社で企画コーディネータの仕事をしていました。
ある日、当時編集局長だった上司と電車に乗っていた時のことです。
「国は女性管理職を増やそうとしているけれど、どんな女子学生が将来、管理職になると思う?」
投げかけられた問いに、私はしばし考え込んでしまいました。

女性管理職を増やす。
それは政策として理解できます。
しかし、そのための人材育成ができている企業はどのくらいあるのだろう。
そして、どのような女性であれば、私はリーダーとして認めることができるのだろう。
そんなことを考えていました。

社会人になって間もないころ、政治の世界で秘書として働いていました。
国会では、多くの女性議員の姿を間近で見てきました。
彼女たちは、期待されながら活躍する女性の代表格といっても過言ではありません。
しかし、男性社会の中で肩肘を張り、懸命に自分を大きくみせようとする人が少なくありませんでした。
ベクトルの方向に違和感を覚えたものです。
女性らしいリーダーシップとはなんだろう。
この頃から、私の中にはそんな問いがありました。

リーダーシップや能力に性別は関係ないというのが、私の持論です。
しかし、あえて女性管理職を増やす施策を講じなければこの国が前へ進めないのであれば、社会でリーダーとして活躍する女性に必要な力とは何かを、明らかにする必要があるのではないか。
そして私が考えた女性管理職、リーダーにふさわしい人物像は、心身ともに「強さ」と「しなやかさ」を持った人でした。

では、その素養はどのようにして磨かれるのでしょう。
上司からあらためて問いかけられ、大学に入ってもスポーツを頑張っている女子はどうだろうと提案しました。
そこで、そういう学生の情報を求め、大学のキャリアセンターを訪ねることにしました。
大学を周って話を聴くうちに見えてきたのは、スポーツと学業を懸命に両立する女子学生たちの姿でした。
競技に打ち込みながら、限られた時間のなかで将来を考え、就職活動にも向き合う。
日頃から体調管理、スケジュール管理などを当たり前のように行っていて、企業が求めるリーダーシップや協調性、最後までやり抜く力を自然と身に付けていました。
ある大学のキャリアセンター長に、こう言われました。
「彼女たちはとても有能な人材です。しかし忙しすぎて、就職活動に十分な時間を割くことができずにいます。
とてももったいないと思います。彼女たちのために、有益な情報を発信してくれませんか」

その瞬間、私たちがやるべきことが明確になりました。
スポーツに打ち込む学生たちには、社会で活躍する力がある。
しかし、その力を社会へとつなぐ情報が足りていない現状。
それならば、その架け橋となるメディアを作ろう!
「この学生たちに、メディアに携わる者として何を届ければいいのだろう。」
その問いが、私の中に残りました。

大学のキャリアセンターが、口を揃えて「スポーツ女子は有能です」と話す理由は何なのだろう。
それはスポーツを通して培うことができるものなのか。
その正体を知りたい。
彼女たちに共通する魅力を発見することが、社会で活躍する女性を育てる第一歩になるのではないかと考えました。
まずは、「スポーツで培われる力」を表す言葉を集める。
その解を探すなかで出会ったのが、スポーツ政策の提言や調査研究を行う笹川スポーツ財団でした。
この出会いが、RanRunの未来を大きく動かすことになります。
あれから10年。
今振り返ると、あの電車の中での会話が、RanRunの原点でした。
