今、大学生や高校生が主体となって地域に入り、農業や地域活性に関わる動きが広がっています。
その象徴ともいえるのが、農業や地方創生に取り組む団体を表彰する「アグらむアワード」。
第1回となる今回は、東京大学の学生団体「東大むら塾」がグランプリを受賞しました。
学生でもここまでできるのか――。
その実態を見ていきます。
農業×地方創生に挑む学生たちを表彰「アグらむアワード」
日本農業新聞が2026年3月25日、農業や地方創生につながる優れた取り組みを表彰する「アグらむ」アワードの表彰式を都内で開きました。
このアワードは、農業や地方創生を担う未来人材の育成を目指す「アグリスタートアップフォーラム」(アグらむ)の取り組みのひとつで、全国から集まった22団体・29の活動の中から優れた事例が選ばれました。
グランプリは、耕作放棄地の再生や援農に取り組む東京大学のサークル「東大むら塾」。
単なる農業支援ではなく、地域経済や関係人口の創出まで視野に入れた活動が評価されているのが特徴です。
会場には審査委員である作家の佐藤優さんや元農林水産事務次官の末松広行さん、全国農協青年組織協議会会長の北川敏匡さんらも駆けつけ、受賞者を労いました。
グランプリは東大生の「東大むら塾」
耕作放棄地の活用を軸に、千葉県富津市での米づくりに取り組んでいます。
収穫した米をブランド化して、ふるさと納税の返礼品とするなど、農業の価値創出と地域経済への貢献を実現。
また、北海道での援農活動や福島県での復興支援にも取り組み、地域を横断した実践的な活動が高く評価されました。
表彰式で代表の上野元輝さんは、「農村で過ごして農業の魅力を実感しました。農村との交流活動を通して、農業に関わる若者が増えてほしいです」と話しました。

他大学・高校にも広がる“農業×学生”の動き
準グランプリ・優秀賞にも、学生主体の多様な取り組みが並びました。
▽準グランプリ
・神戸大学「地域密着型サークルにしき恋」
兵庫県丹波篠山市にしき南地区の耕作放棄地で、地域住民らと特産の丹波黒大豆を栽培。
大学やインターネットで販売する。
・栃木県立栃木農業高等学校
学校敷地内に巣箱を設置して、ニホンミツバチを飼育。
学校農場で化学農薬の使用量を削減するなど、ミツバチと共存する地域づくりを目指す。
▽優秀賞
・渥美どろんこ村「農あるトンビ」(愛知県田原市)
食料を自給するための基本的な農業技術を習得する、渥美どろんこ村。
同村が持つ農地などの資源を活用して、農業体験を企画。
関係人口を創出する。
・東京大学「Agrlien」
はじまりは、神奈川県小田原市の寺に寄付された耕作放棄地の活用。
群馬県東吾妻町、千葉県大網白里市や同県館山市など各地で援農に取り組む。
いずれも共通しているのは、「学び」だけで終わらず、地域と継続的に関わっている点です。
学生が農業や地方創生に関わるメリット
こうした活動は、単なるボランティアではなく、学生にとって大きな価値があります。
・実践的な経験が積める
机上ではなく、リアルな社会課題に向き合える
・キャリアの選択肢が広がる
農業・地域ビジネス・行政など多方面に接続
・人とのつながりができる
地域住民や企業、自治体とのネットワーク形成
特に近年は、「社会貢献」や「地域との関わり」を重視する企業も増えており、こうした経験は就活にも活きてきます。
農業は“就職先”ではなく“関わり方”の時代へ
これまで農業は、「就職するかどうか」という選択肢で語られがちでしたが、
- 副業的に関わる
- プロジェクト単位で参加する
- 地域と継続的に関係を持つ
といった、多様な関わり方が生まれています。
学生のうちから関わることで、自分なりの「社会との接点」を見つけることができそうです。
「アグリスタートアップフォーラム」(アグらむ)とは
「アグらむ」は、農業と地域社会の未来を担う人材育成と、志を同じくする仲間づくりを目的に、日本農業新聞が2025年に設立したプラットフォームです。
主な活動は、(1)「アグらむ」活動助成、(2)優れた活動を表彰する「アグらむ」アワード、(3)交流会の開催―など。
まずは一歩。学生でもできる地域との関わり
「興味はあるけれど、何から始めればいいかわからない」
そんな人は、まずはイベントや募集情報をチェックするのがおすすめです。
「アグらむ」では、2026年度のプロジェクト募集も予定されています。
小さな一歩でも、実際に地域に関わることで見える景色は大きく変わります。
農業や地方創生は、学生だからこそできる関わり方がいま広がっています。
2026年度「アグらむ」プロジェクトの募集について
応募受付期間は、2026年5月1日(金)~6月30日(火)。
1件当たりの助成額は5万円(税込)。
応募は日本農業新聞公式ウェブサイトのアグらむ特設ページより。 https://www.agrinews.co.jp/page/agrum

