
YouTubeやメディアでも活躍する内科医・橋本将吉先生(ドクターハッシー)が、ヘルスリテラシーを高めるための実践的な 健康知識をお届けする連載。
医師だからこそ伝えられる“正しい情報”を月替わりテーマで解説します。
11月に入り、朝晩の冷え込みを感じるようになると、「なんだか手足が冷たい」「身体がだるくて巡りが悪い気がする」という声が増えてきます。
実はこの時期の冷えは、気温の低下だけでなく、女性ホルモンのリズムとも深く関係しています。
第20回は、前回の生理前の不調に続き、冷えが自律神経とホルモンバランスに与える影響と、11月から始めたい温活・食事術を、医師の視点からお伝えします。
なぜ生理前後は「冷え」を感じやすいのか
排卵の後(黄体期)は、プロゲステロンの働きによって基礎体温がわずかに上がります。
ところが生理が近づくとこのホルモンが急激に減少し、この変化が体温調節に関わる自律神経の働きにも影響すると考えられています。
もともと自律神経が体温調整で忙しいこの時期に、11月特有の朝晩の気温差が加わることで、手足の冷えやだるさを強く感じやすくなると考えられています。

冷えが「巡り」を悪くする仕組み
身体が冷えると、末梢の血管が収縮し、血行が悪くなります。
血行が滞ると、酸素や栄養が全身に届きにくくなるだけでなく、老廃物の排出も滞りがちになり、むくみや肩こり、疲れが取れにくいといった不調につながることがあります。
また、自律神経は体温調節と同時にホルモン分泌のコントロールにも関わっているため、冷えによる自律神経の乱れが、ホルモンリズムに影響を及ぼす可能性があるとも言われています。
ただし、このメカニズムについては研究段階の部分も多く、すべてが解明されているわけではありません。

当てはまる?11月の冷えサイン
以下の項目に3つ以上当てはまる場合は、冷えによる巡りの低下が起きているサインかもしれません。
☑ 手足の先が冷たく、なかなか温まらない
☑ 靴下を履いていても足が冷える
☑ 肩や首がこりやすい
☑ 朝起きたときに顔や足がむくんでいる
☑ 生理前になると特に冷えを強く感じる
☑ お腹を触るとひんやりしている

今日から始める温活・食事術
温活は特別なことをする必要はなく、日常のちょっとした選択の積み重ねです。
ここでは食事を中心に、今日から取り入れられる工夫を5つ紹介します。
① 朝食に「温かいたんぱく質」を一品加える
冷たいヨーグルトやスムージーだけの朝食は、身体を冷やしやすいと言われています。
味噌汁や白湯で溶いたスープなど、温かいたんぱく質源を一品加えることは、冷え対策のひとつとして取り入れやすい工夫です。
② 根菜類を積極的に取り入れる
にんじん、ごぼう、れんこんなどの根菜類は、東洋医学や食養生の考え方で身体を温める食材とされています。
煮物やスープにして、11月からの食卓に取り入れてみましょう。
③ 生姜や黒い食材を活用する
生姜に含まれる成分には血行を促進する働きがあるとされています。
また、黒豆・黒ごま・ひじきなど「黒い食材」は、東洋医学でも身体を温めると言われる食材です。
💡 POINT:温活食材は「毎食たっぷり」よりも「毎日少しずつ」の方が続けやすく、効果も実感しやすくなります。
④ 首・手首・足首の「3つの首」を冷やさない
この3か所には太い血管が通っており、ここを温めることで全身の血流の改善につながりやすいといわれています。
ストールや手首まであるカーディガン、レッグウォーマーなどを1枚取り入れてみてください。

⑤ ぬるめのお湯にゆっくり浸かる
38〜40℃のお湯に15分程度浸かることで、自律神経の緊張がやわらぎ、血流も促されるといわれています。
シャワーだけで済ませがちな方は、11月からは湯船に浸かる習慣を意識してみましょう。

服装でできる温活のコツ
食事だけでなく、日々の服装の選び方でも冷えの感じ方は変わります。
ここでは今日から取り入れやすい工夫を3つ紹介します。
① 靴下は「重ね履き」よりも「厚手を1枚」
厚みの異なる靴下を重ねると、締め付けによってかえって血行を妨げることがあります。
締め付けの少ない、少し厚手の靴下を1枚選ぶ方が、足先の冷え対策には向いているといわれています。

② お腹まわりを「腹巻き」でカバーする
お腹には内臓が集まっており、ここが冷えると全身の冷えにつながりやすいといわれています。
インナーの上から腹巻きを1枚重ねるだけで、比較的手軽に取り入れられる冷え対策です。

③ 使い捨てカイロは「お腹や腰」に貼る
手足に直接貼るよりも、太い血管が通るお腹や腰まわりに貼る方が、温まった血液が全身に巡りやすくなるといわれています。
低温やけどを防ぐため、肌に直接貼らず、衣類の上から使用しましょう。

おわりに
11月の冷えは、気温の変化と女性ホルモンのリズムが重なって起こりやすい、この季節ならではの不調と考えられています。
我慢するのではなく、食事と生活の小さな工夫で「巡り」を助けてあげることが、心と身体を安定させる近道になります。
次回は、忙しくなる年末をどう乗り切るか、「入浴と睡眠」の質を高める方法をお伝えします。
橋本 将吉先生プロフィール

内科医。『西新宿セルフライフ内科クリニック』院長。
登録者数89万人超えのYouTubeチャンネル『ドクターハッシー/内科医 橋本将吉』にて 健康教育を発信している。2011年に「医学教育という専門領域から、日本と世界の明るい未来を創造する」という理念のもと、株式会社リーフェホールディングス(旧株式会社リーフェ)を設立。
医学生向けの個別指導塾『医学生道場』を運営するほか、2022年9月には健康や医学を医師から学べるサービス『リーフェアカデミー』をリリースし、企業や学校等でのセミナーも展開している。
2023年11月には、現役医師の目線から日々を健康に暮らすためのアイテムを扱うライフスタイルブランド「ハシモトマサヨシ」を立ち上げ、乳酸菌飲料「乳酸菌V28」などの商品を展開している。
2026年7月には「西新宿セルフライフ内科クリニック」を開院し、院長を務める。
「櫻井・有吉THE夜会」「林修の今、知りたいでしょ!」「めざましどようび」など多数のテレビ番組に出演。
著書に『薬のトリセツ』(自由国民社)、『「老いても元気な人」と「どんどん衰えていく人」ではなにが違うのか』(アスコム)などがある。
リーフェホールディングス:https://li-fe.co.jp/
西新宿セルフライフ内科クリニック:https://selflife.clinic/
医学生道場:https://igakuseidojo.com/
リーフェアカデミー:https://healthcare-academy.co.jp/
ハシモトマサヨシ:https://hashimotomasayoshi.co.jp/
