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柔道は自分を成長させる「道」 了德寺大学職員 今井優子

Byranchan

2月 12, 2016

女子柔道70㎏級で全日本実業個人選手権大会3連覇や世界国別団体大会優勝などの実績を持つ、全日本柔道連盟元強化選手の今井優子さん。人気テレビ番組「炎の体育会TV」の出演でご存知の方も多いだろう。現在は了德寺大学職員として学生支援課、女子柔道部コーチ、少年柔道の指導などに従事している。今井さんに、現役時代のこと、現在の仕事のことなどを聞いた。

<柔道との出会い>
4歳の時に観たテレビアニメ「YAWARA!」で、女の子が男性を投げるシーンに憧れ、柔道を習いたいと親に懇願。反対する父親を説得し、絶対に途中で辞めないことを約束し道場に通い始めた。
道場では、練習はキツイし先生は怖かったが、イベントや合宿などに参加し、同年齢の友達ができて楽しかったと振り返る。
しかし、道場には他に女子が居らず、小学校時代は女子との遊び方がわからなくて、6年生の時に初めて女子の友達ができた。
その友達が後に道場のマネージャーになってくれたのだという。

<学生時代>
私立中学から誘いがあり、中高一貫校に進学、ようやく柔道の女子仲間ができた。
中学2年から寮生活が始まったが、教員アパートの1室に生徒3人ずつ3段ベッドを使っての生活。
クーラーの無い部屋で朝食は当番制だった。
朝6時起床して栄養補助食品のゼリーを食べ、朝のトレーニング、朝食を食べてから学校で授業を受け、16時~19時まで練習の日々だったそうだ。
福岡出身の今井さんは、東海大学に進学のため上京。
1人部屋の寮生活になった。
朝食と夕食はついていたそうだが、料理が好きな今井さんは、昼食のお弁当を作って持って行ったそうだ。
体重制限で減量する選手が多い中、今井さんは代謝が良く、食べないと体重が減ってしまう体質。
サプリメントを食事にプラスするなどの対策をとっていた。
社会人になると、一人暮らしの生活になり、毎日、自炊をした。
栄養に気を使い、おかずを3品~5品くらい用意した。
大学院に進学した今井さんは、学生の朝練に一緒に参加し、勉強の空き時間には授業の手伝いをした。
修士論文では、柔道家のケガについての心理的要因をテーマに研究したそうだ。

<柔道の魅力>
柔道は個人競技だが、今井さんは団体戦が好きだったという。
言葉にしなくても阿吽の呼吸で通じるものがあり、一緒に練習してきた過程が心の支えになって、「みんなで一緒に頑張ろう」という連帯感が好きだった。
団体戦での今井さんのポジションは、3番手か4番手を担うことが多く、自分が試合の流れを作ることができるのが楽しかったという。
現在は、大学女子柔道部のコーチとして、また少年柔道の指導者として後進の育成にあたっている今井さん。
現役時代は、自分の得意技を中心に練習をしていたが、今は柔道全般を教えなければならない。
指導者として知らないことが多いので、うまく説明する方法を勉強しなければならないと痛感したそうだ。
ちなみに今井さんの得意技は一本背負投。少年柔道の生徒は4歳~中学3年生まで。
4歳の子が「今井先生!と手を握ってくるのが可愛くて」と満面の笑みを浮かべる。
今井さんにとっての柔道とは?と質問してみた。自分自身を成長させ続けてくれる「道」と答えが返ってきた。

<辛かったこと>
「う~ん、女の子の服が入らなかったことかな」と今井さん。
確かに柔道の練習はきつかったけれど、生き甲斐だったし、今思うと大したことじゃなかった気がするのだとか。

<ファッション>
服が好きだと言う今井さんの夢は、女性のMサイズを着ること。
筋肉の上手な落とし方のアプリを使って、筋トレをしながらサイズダウン中なのだそうだ。

<働くということ>
学生支援課で初年次教育プログラムを担当している今井さんの主な仕事は、新入生が早く大学生活に慣れるように、レポートの書き方やマナーなどを教えたり、講演会の準備をしたり、学生の窓口対応などだ。初めは、慣れないことが多く大変だったが、柔道でメンタルを鍛えてきたからか、働くということを前向きに考えるようになった。
「自分の経験として、働くということは楽しいことも嫌なこともあります。
私は人と話すことが苦手でしたが、人と接することが多くなり、言葉を交わすことで元気になると気づきました。
今は言葉を交わすことの大切さを感じています」

<今後の目標>
社会人として働きだして3年目を迎える。5年後も仕事は続けていたい。
指導者として柔道に携わっていたいと柔道への想いを語る。
本当は引退したらすぐにでも結婚したかったんです」と照れ笑い。
子供が好きなので、早く子供が欲しいのだとか。

<スポーツ女子へのメッセージ>
長い間、一つのことを継続してやってきたということは強みです。
一つのことに一生懸命取り組むことは、今後の人生にきっと役立ちます。
自信を持って、自分らしく生きて欲しい。

<モチベーションを上げる曲>
最近は、ポジティブになれるのでAIの「みんながみんな英雄」を通勤時によく聴いているそうだ。

<プロフィール>
氏名      今井優子
生年月日  1985年8月3日
階級      70kg (現役時)
出身県    福岡県
出身高校  福岡県敬愛高等学校
出身大学  東海大学

主な成績
2003     全日本ジュニア体重別選手権大会     3位
2004     全日本ジュニア体重別選手権大会     優勝
2005     講道館杯全日本体重別選手権大会    3位
2006     講道館杯全日本体重別選手権大会    3位
2007     全日本選抜体重別選手権大会           3位
全日本学生体重別選手権大会           優勝
2008     全日本実業柔道個人選手権大会       優勝
講道館杯全日本体重別選手権大会    準優勝
嘉納杯東京国際グランプリ              3位
2009     関東選手権大会    準優勝
全日本実業柔道個人選手権大会       優勝
全日本女子選手権大会               3位
講道館杯全日本体重別選手権大会    3位
2010     ワールドカップ・ソフィア                優勝
全日本実業個人選手権大会              優勝
講道館杯全日本体重別選手権大会    3位
2011     東アジア選手権大会                    優勝
ユニバーシアード                   3位
講道館杯全日本体重別選手権大会    優勝
2012     全日本選抜体重別選手権大会           3位
全日本実業個人選手権大会              優勝
世界国別団体大会            優勝
グランドスラム・東京                    3位
2013     全日本選抜体重別選手権大会           3位
国民体育大会(千葉県代表)          優勝
2014     国民体育大会(千葉県代表)          優勝

指導歴
2014~ 了德寺大学女子柔道部 コーチ
了德寺柔道クラブ 指導

(2016年2月掲載記事リライト)