• 土. 10月 12th, 2024

愛する息子は殺人犯か?それとも被害者なのか?サスペンスファン待望の映画『望み』

映画『望み』メインビジュアル

「クローズド・ノート」「検察側の罪人」の雫井脩介が執筆時、最も悩み苦しみ抜いたという、著者渾身のサスペンス小説「望み」。
読者満足度は驚異の 100%(ブクログ調べ)を記録し、累計発行部数は 20 万部超えのベストセラー小説が満を持して映画化された。
建築家として成功した頼りがいのある父、家で編集の仕事をする優しい母、サッカーに打ち込む人気者の高校生の息子、成績優秀でいつも明るい中学生の娘。
そんな誰の目から見ても幸せな一家が変わってしまったのは、息子がケガをして、サッカー選手になる夢を諦めたことがきっかけだった。
両親に斜に構えた態度をとり、夜遊びをするようになった息子が姿を消したその日、彼の友人が殺害される。
事件には3人の少年が関わり、もう一人殺されたという噂が広がった。
その日から、世間からの誹謗中傷、職場や近隣の人々の手のひら返し、マスコミの容赦ない追及を受けながら、父、母、妹、それぞれの〈望み〉が交錯していく──。
家族がたどり着いた、被害者でもない殺人犯でもない〈3つ目〉の答え、それこそが愛する息子の本当の〈望み〉だった。
──切ない真実が放つ暖かな光に魂がむせび泣く、サスペンス・エンタテインメントだ。

絶望の中、望みが見えた時の感情を熱演する豪華俳優陣の演技に引き込まれ、幸せを感じたのは最初の5分程度、そこから最後までとても悲しい思いで観ていました。
犯罪者の息子がいる家族だと非難されるシーンはとても胸が痛く、犯罪者の家族を持つことの重みや悲しみを強く感じた作品です。
家族には各々の望みがありました。父と母と妹それぞれの望み。
結果としてその望みはどうなってしまうのか。
ドキドキハラハラの連続。
決して幸せとは言えないけれど、ラストに分かる息子の気持ちに感動しました。
昭和女子大学 竹田えみり

監督を務めるのは、娯楽大作から社会派作品まで幅広く手がけながらも、一貫して人間の真実を見つめてきた、『人魚の眠る家』『十二人の死にたい子供たち』の堤幸彦。

たとえ被害者だとしても無実であってほしいと願う父の石川一登に扮するのは、感動作からコメディ、時代劇まで、あらゆるジャンルの様々な役を我が物にしてきた国民的俳優、堤真一。
息子が犯人なら社会的地位も収入もすべて失うことを思い知り、残された家族の人生を守るために、結果的に息子の死を望んでしまう父親をリアルに演じ共感を呼ぶ。

殺人犯でもいいから生きていてほしいと祈る母の貴代美には、映画、TVドラマ、舞台で華やかなキャリアを築き上げ、今や日本のエンタテインメントに欠かせない存在となった石田ゆり子。
息子と共に罰を受けることも覚悟する母の想いが胸に刺さる。

ふとしたボタンのかけ違いから道を外れていく息子の規士には、次々と話題作に起用され、今観客が最も観たい逸材、岡田健史。
家族想いの心優しい少年に、いったい何があったのか、透明だが奥深い眼差しで、少年の心の深淵を演じきった。

兄のことは大好きだが、自分を待ち受けていだ。ずの輝く未来が壊されることを恐れる妹の雅には、若手演技派俳優の中でも突出した才能で観る者を魅了する清原果耶。

STORY

建築家である父の一登(堤真一)が設計した瀟洒な一軒家に暮らす石川家は、仲睦まじい家族だ。
七五三、入学式、家族旅行など数々の思い出の写真の中の、一登、母の貴代美(石田ゆり子)、息子の規士(岡田健史)、娘の雅(清原果耶)の4人は、誰もがうらやむほど幸せそうだった。
そんな一家に翳りがさし始めたのは、高校に通う規士が、ケガでサッカーをやめたことがきっかけだ。次の目標が見つからずふさぎがちな息子を見かねた一登は、「未来は変えられる。
でも、何もしなかったら、何もできない大人になるぞ」と諭すが、規士は反抗的な態度で返事もしない。
そんな中、家で編集の仕事をする貴代美が、規士の部屋で切り出しナイフの空き箱を見つける。
「何に使うんだ」と問い詰めてもはぐらかされた一登は、息子からナイフを取り上げ、事務所の道具箱にしまうのだった。
冬休みに入り、年が明けて5日、中学3年生の雅は、一流高校受験のラストスパートに手ごたえを感じていた。
一方、夜遊びをするようになった規士は、前日から出かけ夜になっても帰ってこない。
心配する貴代美に母(市毛良枝)から電話が入り、テレビを見るように促される。
するとニュースで、乗り捨てられた車のトランクから若い男の遺体が発見されたと報道される。
高校生ぐらいの少年が二人、逃げて行ったという目撃情報もあった。
翌朝、警察官が訪ねて来て、被害者は規士の友人で、規士を含めて数名の遊び仲間が、事件の日から行方が分からないと説明する。
その後、取材に来た雑誌記者の内藤(松田翔太)が貴代美に、行方不明の少年は3人だと教える。
高校生同士の殺人事件かという衝撃的な展開にマスコミの取材は過熱し、「もう一人死んでいる」という噂がSNSで拡散され、ネットでは誰が加害者で被害者か、原因は何か、憶測と中傷が駆け巡る。
一登は規士の潔白を「信じたい」と妻と娘に訴えるが、それは規士が殺されていることを意味していた。

加害者の家族という未来に怯える雅は、父にだけ「お兄ちゃん、犯人だと困る」と打ち明ける。
一方、貴代美は何があっても生きていてほしいという望みと引き換えに、規士が犯人ならどんな社会的制裁も受けると覚悟するのだった。
家族の心がバラバラになったその時、一登は規士から取り上げたナイフが消えていることに気づく。
息子は決して人に手をかけるような人間ではない、そんな一登の確信が崩壊していく。
その時、一人の少年の身柄が確保されたという報せが入る──。

<出演>

堤真一 石田ゆり子
岡田健史 清原果耶
加藤雅也 市毛良枝 松田翔太 竜雷太

<監督>堤幸彦

<原作>雫井脩介「望み」(角川文庫刊) 

<脚本>奥寺佐渡子

<配給>KADOKAWA

(C) 2020「望み」製作委員会

2020年10月9日(金)全国ロードショー

公式サイトnozomi-movie.jp