「発想の転換で可能性が広がることに驚きました」
新たな福祉創りに挑戦する若手職員を表彰する「社会福祉ヒーローズ」全国大会(主催 全国社会福祉法人経営者協議会)が2022年3月15日に開催され、ゲスト登壇した俳優の神尾楓珠さんが感想を語りました。
全国大会に出場したファイナリスト 6 人は全国各地から生中継で参加し、社会福祉に対する熱い想いと、地域での実践内容(介護・保育・障がい者支援等)を事前収録したプレゼン動画で披露しました。
審査は有識者6名と、全国らオンライン中継を視聴する未来の日本社会を支える大学生や専門学生らの投票により決定、最多得票者がグランプリに選ばれます。
グランプリ「ベストヒーロー」賞に選ばれたのは、秋田県の障がい者支援施設「北杜」に勤務する作業療法士の若狭利伸さん。
入居している利用者のリハビリテーションに、ゲーム対戦競技「e スポーツ」を活用するプロジェクトに挑戦しています。
自身もゲーム好きという若狭さんは、脳性マヒや脊髄損傷の方らが、格闘やリズム、パズルのコンピューターゲームを楽しみながら“頭と体のリハビリ”ができるプログラムを実施。
利用者対抗の大会を開催するほか、他施設との交流を目的としたオンライン対戦も行っています。
コロナ禍で面会が制限されるようになると、YouTube を活用した生配信で、家族がチャットで声援を送る仕組みを作りました。
2021 年 1 月には、利用者が e スポーツの全国大会にも初出場。
施設のデイサービスといえば、カラオケや料理が定番ですが、そんな業界の常識を打ち破り、e スポーツを新しいリハビリとして確立することを目指しています。
「障がいの有無・年齢・居住地関係なく全国の人との交流ができる e スポーツは、障がい者の QOL(生活の質)を上げる画期的なツール。導入のノウハウを県内外の他施設や教育機関、地域コミュニティに普及したい」と若狭さん。
グランプリ受賞のスピーチでは、「福祉の仕事というのは、本当に自分の職場の中だけではなく、自分の住んでいる県だったり、大きく言えば世界とつながれるような、すごいおもしろい職業だと思って、これからも今までどおり、自分のやってきた活動を続けていって、どんどん、どんどん発展させていきたいなと思います」と、未来への抱負を語りました。
e スポーツを活用することで、障がい者のリハビリテーションだけでなく、施設利用者と家族の絆を深め、地域を限定せずに他施設との交流にも展開しています。
e スポーツが、年齢、性別、地域、障がいの有無などに関係なくグローバルなコミュニケーションツールとなり、ダイバーシティ推進を加速しそうです。
新しい福祉の在り方を提示した若狭さんの今後の活躍に期待です。