2015年、日本は女性活躍推進法を施行し、「女性が活躍する社会」の実現に向けて大きく動き始めました。
同じ年、RanRunは、将来社会で活躍する女性を育てるという思いを掲げ、「スポーツと学業を両立する女子学生のキャリア支援」というテーマから歩き始めました。
あれから10年。
社会はどれだけ変わり、私たちは前へ進むことができたのでしょうか。
厚生労働省の「令和6年度雇用均等基本調査」を見ると、女性管理職の割合は少しずつ増えています。
部長相当職では8.7%、課長相当職では12.3%、係長相当職では21.1%となり、前年よりもわずかですが上昇しています。
数字だけを見れば、社会は確かに前へ進んでいます。
参考:厚生労働省「令和6年度雇用均等基本調査」結果を公表します~女性の管理職割合や育児休業取得率などに関する状況の公表~

働き方改革により、女性が働く環境もだいぶよくなってきたように思います。
では、女性が自分のために使える時間や、健康を維持するためにスポーツを楽しめる環境も、同じように変わったのでしょうか。
1周年で受け取った宿題
RanRun創刊1周年を迎えた時、当時のスポーツ庁長官だった鈴木大地氏より、読者に向けてメッセージをいただきました。
そこには、「若い女性がスポーツを継続できる文化づくりへの期待」が込められていました。
一部抜粋してご紹介します。
最近の調査によれば20代、30代の女性が同世代の男性に比べてスポーツをする割合が少ないという結果が出ており、この世代の女性のスポーツ実施率の向上が課題となっています。
より多くの学生の皆さんがスポーツを学問として学び、オリンピック・パラリンピック・ムーブメントにおいて重視されるスポーツの価値やインテグリティといったスポーツの社会的役割を理解することはスポーツを通した社会発展を推進することにつながります。皆さんは社会のリーダーになる可能性を秘めています。
スポーツ庁においても、そのような皆さんを応援するために女性アスリートの支援や女性のスポーツ参加促進のムーブメント創出など、女性がスポーツに参加しやすい環境を整備していくこととしています。
スポーツを通じ、将来、社会で活躍するうえで必要なスキルを身に着け、様々な分野で活躍していただくことを期待しています。
このメッセージを私たちは宿題ととらえ、企画を立てる際の道標としてきました。
では、女性のスポーツ実施率は向上したのでしょうか。
笹川スポーツ財団の調査から、20代女性のスポーツ実施状況の推移を見てみました。
10年前と比較して、若い女性がスポーツをする状況が大きく改善したとは言いにくい結果となっています。

もちろん、数字だけで社会の変化を判断することはできません。
スポーツをする環境や選択肢は変わり、働き方も変化しています。
この10年には東京2020オリンピック・パラリンピックの開催や、新型コロナウイルス感染症の拡大など、私たちの生活やスポーツとの関わり方を大きく変える出来事がありました。
それでも、若い女性のスポーツ実施率に、大きな変化はみられませんでした。
少なくともこのデータを見る限り、若い女性が日常の中でスポーツを続けられる環境づくりは、今も私たちが考えなければならないテーマなのではないでしょうか。
1周年の時にいただいたメッセージを読み返しながら、「今、RanRunにできることは何か」をあらためて問い直すことになりました。

この10年を振り返った時、考えないわけにはいかない出来事があります。コロナ禍です。
スポーツをする学生は、大会は中止になり、部活動は活動を止め、学生たちは仲間と練習する場所を失いました。
授業は完全オンラインとなり、入学式もないまま課外活動に参加する機会さえ逃してしまった学年もあります。
私たち編集部も取材に行けない日々が続き、「何を伝えるべきか」を何度も考えました。
そんな時だからこそ、健康でいること、人とつながること、心身を整えることの大切さをあらためて感じたのです。
私たちがヘルスリテラシーやスポーツ栄養を発信し続けてきた意味も、コロナ禍を通してより明確になったように思います。
ひとりひとりのウェルビーイングへ
コロナ禍を経験したことで、成績や仕事の成果だけでは測ることのできない「よりよく生きること」について社会全体が考えるようになりました。
心身が健康であること。
人とのつながりを持つこと。
そして自分らしく生きること。
そうしたものを含めて考える「ウェルビーイング」という視点は、これからの社会を考えるうえで、ますます重要になると感じています。
若い女性がスポーツを続けられる環境をつくることも、女性が自分らしく働き続けられる社会をつくることも、根底にあるのはひとりひとりのウェルビーイングです。

今、生きづらさを感じている子どもや学生、若い世代がいます。
正解が見えない時代だからこそ、「こう生きるべき」という答えを示すのではなく、多様な経験や価値観に触れ、自分なりの答えを見つけてほしい。
それが、私たちの考えるウェルビーイングです。
そのためにRanRunにできることがあります。
この10年間に出会った人たちの経験や言葉を次の世代へつないでいくことです。
最終回では、10年経った今だからこそ、もう一度届けたい二人の言葉をご紹介します。
