• 木. 4月 25th, 2024

女性特有の悩みを解決して素敵な日々を送りませんか②

女性の健康をサポートする大塚製薬の協力のもと、かしわの葉レディースクリニック 院長 岡村麻子先生に女性特有の悩みについてお話を伺いました。
今回は、生理痛(月経痛)について教えていただきました。

ー生理痛(月経痛)のメカニズムについて教えてくださいー

女性は1ヶ月に1回、卵巣から卵子を排出(排卵)します。
それに合わせて子宮内膜を厚くし、妊娠したとき受精卵が無事着床できるように備えます。
妊娠しなければ、子宮内膜の厚くなった部分ははがれて血液と一緒に体の外へと排出されます。
これが月経です。

<正常な月経>
月経周期(月経初日~次の月経初日の前日)は25~38日間です。
月経で出る血の量は通常15~75mlとされており、出血の持続期間は3~7日が正常範囲です。
月経中には腹痛や腰痛、頭痛などの症状が現れますが、日常生活に支障がない程度であれば特に問題ありません。

<異常な月経>
月経周期が25日よりも短い、または38日よりも長い場合は、月経周期が異常です。
頻繁に月経のような出血がある場合は「頻発月経」、月経周期が約40日になる場合は「稀発月経」、3ヶ月以上月経がない場合は「続発性無月経」と呼ばれます。

月経量は、レバーのような塊が出る場合は「過多月経」といい、貧血につながります。
逆に血量が極端に少ない場合も「過少月経」と呼ばれます。
出血の持続期間が8日以上続く場合は「過長月経」といい、月経前~月経中に腹痛や腰痛、頭痛や嘔吐などの症状で生活に支障が出る場合は、「月経困難症」と呼ばれます。
生理痛(月経痛)は「月経困難症」の一つと考えてよいかと思います。

ー治療法はどのようなものがありますかー

漢方薬、低用量ピル、痛みをやわらげる鎮痛剤などが用いられます。
原因となる疾患(子宮筋腫、子宮内膜症、子宮腺筋症など)が見つかった場合は、その疾患の治療を行います。

治療以上に、生活習慣の見直しと改善はPMSの場合と同様にとても大切になります。

ー治療に使われる漢方薬とピルについて教えてくださいー

生理痛(月経痛)の治療に一番使われているお薬に低用量ピルがあります。
ピルはもともとは避妊のためのお薬でしたが、最近では治療薬として使われるようになりました。

ピルを服用することにより、体の中の女性ホルモン濃度が高まり、脳が必要量のホルモンを分泌している(妊娠している)と錯覚するため、排卵が抑制されて妊娠の準備(子宮内膜が厚くなること)を抑えます。
これにより妊娠する確率が低くなるほか、厚くなった子宮内膜がはがれ落ちることが抑えられるため月経の出血量が減り、月経の諸症状が軽快することが期待されます。

ピルには高用量・中用量・低用量・超低用量とホルモンの含有量により分かれていますが治療には、血栓症のリスクを減らした低用量もしくは超低用量ピルが使われます。

一方、漢方薬は1種類の薬で様々な症状に効果があります。
200種類以上もの症状があると言われているPMSから生理痛(月経痛)まで、様々な症状を改善するには漢方治療は向いていると言えます。

そして漢方薬はその人の体質や症状をしっかりと見極め処方する(随証治療)ことにより改善するので合う薬と合わない薬があります。
漢方的な診察が必要になります。
体質にぴったりと合ったものを処方されれば、非常に効果が高い治療方法になります。

漢方薬は生薬の組み合わせで構成されているので非常に多くの種類がありますが、女性の不調は血を補い血をめぐらすといわれますが、その血に対する生薬を含む、月経痛の時にもよく処方される婦人科三大漢方というものがあります。

加味逍遙散(かみしょうようさん)ホルモンバランスを整えます。
(イライラ、不安感、憂鬱、不眠など)
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)血行促進する効果があります。
(冷え性、むくみ、月経痛、めまい、動悸、貧血など)
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)血液の循環をよくします。
(頭痛、生理痛、肩こり、めまいなど)

<効果の比較>

低用量ピル・・・低用量ピルは排卵を止めて内膜を薄くすることによりホルモンバランスを強制的に整えるので比較的早く効果を感じることが可能です。月経量が減少するため、貧血の改善にも役に立ちます。妊娠を希望される方、血栓症の既往の方には処方できません。

漢方薬・・・ピルほどの即効性がないのですが、有効な場合は2週間で効果が表れます。西洋薬には冷えを改善する作用はないので、冷え症の方は、漢方薬、もしくは漢方薬の併用の治療を勧めます。体のバランスを整えていくため、妊娠を望む方に役に立ちます。また自分の体質に合わない漢方薬だと効果はでません。その辺の見極めが重要です。

<副作用>

低用量ピル・・・低い確率ですが、重度の副作用として血栓症の心配があります。
そのほか、吐き気、頭痛、だるさ、乳房の張り、むくみなどがありますが、ホルモンバランスの安定とともに治まることがほとんどです。

漢方薬・・・西洋薬に比べ副作用は少ないですが、まれに間質性肺炎や偽アルドステロン症などの重篤な副作用が発生することもあります。
その他、吐き気、腹痛、じんましん、むくみなどの副作用が起こることもあります。

ピル、漢方薬、サプリ、生活改善(養生)もふくめて、一番ご自身に合った方法を見つけることが大切だと思います。

ー服薬以外の治療法はありますかー

PMSの「食事や運動などの自分でできる対処方法はありますか」を参考にしてください。

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ーPMSと生理痛(月経痛)両方の症状が起こる人もいるのでしょうかー

月経困難症が重い人はPMSも重いという報告があります 2)。
東洋医学的には、月経痛は瘀血が関係しているとされ、PMSの病態である気鬱、水滞、瘀血と重なっていることからも、納得がいきます。
瘀血体質(血の巡りが悪い)の人はPMSも月経痛もつらいかもしれません。

2) Kitamura M, et al., Arch Womens Ment Health. 15(2): 131-133. 2012

岡村麻子先生

かしわの葉レディースクリニック 院長 岡村麻子先生

取材 RanRun学生スタッフ  MIKA