• 金. 9月 11th, 2026

未来は変えられる?「環境問題は解決できる」高校生世代は51.2% 大人世代との意識差が明らかに

イメージ画像(AI生成)」

「環境問題は、これからの人類の努力によって解決できると思いますか?」
この問いに「解決できる」と答えた高校生世代は51.2%。
大人世代の26.6%に対し、約1.9倍に。

一方で、高校生が環境問題を深刻に捉えていないわけではありません。
「夏が命の危険があるレベルで暑くなった」
「自分が大人になる頃にはもっと酷くなっているんじゃないか」
そんな声も寄せられています。

公益財団法人旭硝子財団が実施した「第7回 生活者の環境危機意識調査」から見えてきたのは、気候変動を身近な危機として感じながらも、問題を解決する可能性を信じる高校生世代の姿でした。

7年連続で「気候変動」が最も危機的な問題に

調査は全国の15~69歳の男女1,302人を対象に2026年6月24日~26日、インターネットで実施されました。
高校生世代(15~18歳)211人、Z世代(18~24歳、高校生・高専生を除く)520人、大人世代(25~69歳)571人が回答しています。

日本国内の環境問題について「危機的な状態にある」と考える項目の1位は「気候変動」42.9%)。
7年連続の1位となりました。

理由として挙げられたのは、夏の異常な暑さや豪雨などの異常気象、農作物への影響、それに伴う野菜や米の価格高騰など。
気候変動が日々の暮らしに直結する問題として捉えられていることがうかがえます。

「夏が命の危険があるレベル」高校生も変化を実感

高校生世代からは、気候変動について、
「近年5月から10月頃まで暑く、7・8月は異常な暑さが続き危機感を感じるため」
「学校の授業で気候変動により地球温暖化が進み、それによって海水が上昇したり食料が不足したりすると習ったから」
「夏が命の危険があるレベルで暑くなったから」
といった声が寄せられました。

また、「環境問題で危機的に感じることはない」と回答した割合を見ると、Z世代10.6%、大人世代10.3%に対し、高校生世代は4.7%でした。
高校生世代は環境問題を知らないから楽観的なのではなく、学校での学びや日々の生活を通して、環境の変化を身近な問題として受け止めているようです。

自分が大人になる頃、地球はどうなっている?

環境問題への危機意識を時計の針にたとえる「環境危機時計®」では、生活者の全国平均は「7時3分」となり、「かなり不安」を示しました。

世代別では、高校生世代:7時1分  Z世代:6時36分  大人世代:7時27分
となり、大人世代の危機意識が最も高い結果となりました。

高校生世代からは、
「環境問題が悪化している今、自分が大人になる頃にはもっと酷くなっているんじゃないかと日に日に感じているため」
「毎年どんどん暑くなっていくので、自分が高齢者になる頃には夏はもう出かけられないほどの暑さになってしまうかも」
と、自分自身がこれから生きていく未来への不安も寄せられています。

それでも51.2%が「環境問題は解決できる」

こうした危機感を持ちながら、環境問題を「これからの人類の努力によって解決できる」と考える割合には、大きな世代差がありました。

「解決できると思う」「ある程度解決できると思う」を合わせると、高校生世代:51.2% 大人世代:26.6%となり、その差は約1.9倍。
反対に「解決は難しいと思う」「解決はやや難しいと思う」を合わせると、高校生世代41.7%に対し、大人世代は61.3%でした。
全国平均でも「解決は難しい」「やや難しい」を合わせると58.5%に上ります。

未来への不安を感じながらも、高校生世代の半数以上が、人類の努力によって環境問題を解決できる可能性を感じていることになります。

世界で話し合えば変えられる――国際協調への期待も

環境問題を解決するために、これからどのような枠組みが中心になると思うかを尋ねた質問でも、世代差が表れました。

「国連などが中心となって世界全体で話し合い、合意して進める」と答えた割合は、高校生世代31.3%、Z世代22.9%で、それぞれの世代で1位となりました。
一方、大人世代で最も多かった回答は「国同士が協力したり、誰かが主導するのは難しい」の20.0%。
若い世代ほど、国や立場を超えて協力することで環境問題を解決していくことに期待を寄せている様子が見えてきます。

高校生が評価した「質の高い教育」と「ジェンダー平等」

SDGsについても興味深い結果が出ています。

日本における現在の「感覚的なSDGs達成度」は、
高校生世代 35.8%
Z世代 34.9%
大人世代 31.3%
と、若い世代ほど高く評価しました。


さらに、2030年に「達成度が高いと思うSDGsの目標」を高校生世代だけで見ると、1位は「質の高い教育をみんなに」、2位は「ジェンダー平等を実現しよう」でした。

一方、達成度が低いと思う目標では、高校生世代でも「ジェンダー平等を実現しよう」が2位となっています。
同じ目標でも見通しが分かれている点から、社会が前進しているという実感と、まだ残されている課題の双方を若い世代が感じていることもうかがえます。

学ぶことが、社会について考える入口に

高校生世代の自由回答では、学校の授業で環境問題や社会課題について学んだ経験に触れた回答がみられました。
今回の調査だけから、学校教育と環境問題への意識との因果関係を判断することはできません。
それでも、気候変動、人口問題、社会や経済について高校生が自分の言葉で回答している背景には、学校で学んだことだけでなく、ニュースや自分が暮らす地域、毎日の暑さなど、さまざまなところから社会課題と接する機会があることが見えてきます。
社会課題を「知る」ことは、自分がこれから学ぶことや、選ぶ仕事、社会との関わり方を考える入口にもなります。

若者が希望を捨てていないことが「希望の光」

本調査を監修した慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科の蟹江憲史教授は、今回の結果について、気候危機が「まだ先」の問題ではなく、肌で感じるほど身近になっていると指摘しています。
その一方で、大人世代では国同士の協力やリーダーシップへの期待が低く、環境問題を解決できると考える割合も低いことに触れています。
そして、今回の調査の中で「希望の光」として挙げたのが、若者世代の回答です。
「これからを生き、課題解決を担う若者世代が希望を捨てていないことは、そのこと自体が希望の光となっていると言えます」

未来の環境を引き継ぎ、長く生きていくのは今の若い世代です。
だからといって、環境問題を解決する責任まで若い世代に委ねてよいわけではありません。
蟹江教授は、これからの時代を生きる若者たちへの負担を少なくするために、大人が自覚し、変革を起こす時ではないかと問いかけています。

「解決できる」と思える未来を次の世代へ

気候変動を止めることも、SDGsを達成することも、一人の力だけでできることではありません。
それでも、「どうせ変わらない」と考えるのか、「変えることができる」と考えるのか。
その違いは、これからの社会をつくるうえで小さくないはずです。

高校生世代の51.2%が示した「解決できる」という意識。
若い世代の希望を希望のままで終わらせず、実際に未来を変える力へとつなげるために、大人世代に何ができるのか。
今回の調査は、若い世代だけでなく、今を生きる私たち一人ひとりにも問いを投げかけています。

<監修者プロフィール>
蟹江 憲史 (かにえ のりちか)
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授
慶應義塾大学 SFC 研究所 xSDG・ラボ代表。
同大学グローバルリサーチ・インスティテュート(KGRI)Keio STAR共同センター長。
北九州市立大学助教授、東京工業大学大学院准教授を経て現職。
日本政府持続可能な開発目標(SDGs)推進円卓会議構成員、内閣府自治体 SDGs 推進評価・調査検討会委員他、再生可能エネルギー会社である株式会社レノバ独立社外取締役に 2017 年から 4 年間就任。
専門は国際関係論、サステナビリティ学、地球システム・ガバナンス。
国連における SDGs 策定に、構想段階から参画。SDGs 研究の第一人者であり、研究と実践の両立を図っている。
近著に「SDGs(Sustainable Development Goals)中公新書、2020」がある。
独立科学者 15 人のメンバーとして国連事務総長に選任され、国連 Global Sustainable Development
Report(GSDR)の 2023 年版執筆を行った。博士(政策・メディア)。

【調査概要】
調査名:第7回 生活者の環境危機意識調査
調査目的:日本国内の一般生活者の環境問題に対する意識や行動の実態を把握する
調査対象:全国の15~69歳の男女1,302人
・高校生世代(15~18歳)211人
・Z世代(18~24歳、高校生・高専生を除く)520人
・大人世代(25~69歳)571人
調査地域:全国
調査方法:インターネットリサーチ
調査時期:2026年6月24日~6月26日
有効回答数:1,302サンプル
調査主体:公益財団法人旭硝子財団
監修:慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 蟹江憲史教授

※本記事は公益財団法人旭硝子財団発表「第7回 生活者の環境危機意識調査」をもとに構成しています。

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