
YouTubeやメディアでも活躍する内科医・橋本将吉先生(ドクターハッシー)が、ヘルスリテラシーを高めるための実践的な 健康知識をお届けする連載。医師だからこそ伝えられる“正しい情報”を月替わりテーマで解説します。
第11回では、紫外線がDNA・コラーゲン・メラニンに与えるダメージの仕組みをお伝えしました。
今回の第12回は実践編。「日焼けしてしまった後のケア」と「日々の予防習慣」を、医学的根拠をもとに具体的に解説します。
スキンケアを”なんとなく”から”科学的に”変えていきましょう。
内科医の橋本将吉(ハシモトマサヨシ)です。
日焼け止めは塗っているけど、何を選べばいいかよくわからない。
日焼けした後、どうケアすればいいかわからない。そんな方は意外と多いものです。
今回は「正しい予防」と「もし焼けてしまった後の対処法」をセットでお伝えします。
まず確認!あなたのスキンケア、実はNGかも?
「日焼け対策はしている」という方でも、やり方に落とし穴があることがあります。
下記の7項目のうち、当てはまることはありませんか?
- 日焼け止めを朝1回だけ塗って、塗り直しをしていない
- 日焼け止めの量が少なすぎる(薄く伸ばすだけ)
- SPFの数値だけ見て、PA値(UV-A対策)を確認していない
- 曇りの日は日焼け止めを省略している
- 日焼け後に保湿をせず、そのままにしている
- 洗顔やクレンジングで肌をゴシゴシこすっている
- ビタミンCなど抗酸化ケアをまったくしていない
1つでも当てはまった方、大丈夫です。
今日から正しい方法に変えましょう。
日焼け止めの正しい選び方・使い方
日焼け止めは塗っているけど、何を選べばいいかよくわからない。
正しい使い方ができているかわからない、そんなあなたに抑えて欲しいポイントです。
SPFとPAの意味を正しく理解する

<ポイント>
SPF(Sun Protection Factor)はUVBを防ぐ指標。
PA(Protection grade of UVA)はUVAを防ぐ指標です。
両方を確認しましょう。
SPFは数値が高いほどUVBをより長く防げますが、数値が高ければ高いほど肌への負担も増します。
日常使いにはSPF30〜50、海やレジャーではSPF50以上が目安です。
PA値は「+」の数が多いほど強く、日常はPA++、屋外スポーツや海ではPA++++を選ぶとよいでしょう。
塗る量が足りていないと効果が半減
日焼け止めは「塗った気になる量」では効果が半減します。
研究上の効果を得るには、顔全体に対して小さじ1/2程度(約1〜2g)が目安とされています。
多すぎると感じるかもしれませんが、これが正しい量です。
また、汗や皮脂によって2〜3時間で効果が落ちるため、こまめな塗り直しが欠かせません。
外出中は日焼け止めスプレーやパウダータイプを活用するのが現実的です。

塗る順番に気をつける
スキンケアの中で日焼け止めを塗る順番は、保湿の最後・メイクの前が基本です。
化粧水→乳液(または美容液)→日焼け止め→メイクの順が正しい順番です。
日焼け止めの上からさらに保湿剤を重ねると、日焼け止めの効果が薄まる可能性があります。
日焼けしてしまった後のケア——炎症を早く鎮める
日焼けは医学的には「紫外線による皮膚の急性炎症」です。
赤み・熱感・ヒリヒリ感はすべて炎症反応です。
適切に対処することで、色素沈着(シミ)へのなりやすさをコントロールできます。
ステップ① まず冷やして炎症を抑える
<ポイント>
日焼け直後は冷水で冷やすか、冷たいタオルを当てて皮膚の熱を取りましょう。
ただし氷や保冷剤を直接肌に当てるのはNG(凍傷・毛細血管のダメージのリスクあり)。
シャワーを浴びる場合はぬるめのお湯(38℃以下)に。
熱いお湯は血行を促進し、炎症をさらに悪化させることがあります。
ステップ② 保湿でバリア機能を回復させる
日焼けした皮膚は水分が急激に失われ、乾燥した状態になります。
炎症が落ち着いてきたら(翌日以降が多い)、たっぷりの保湿ケアを行いましょう。
セラミド・ヒアルロン酸・グリセリンなどを含む保湿剤がおすすめです。
刺激の強いアルコール・香料入りの化粧品は避けてください。

ステップ③ ビタミンCで美白ケアを行う
炎症が治まってきたら、ビタミンC誘導体を含む美容液の使用が効果的です。
ビタミンCには、メラニン生成を抑制する働きと、すでに生成されたメラニンを還元(薄くする)働きがあります。
ただし、炎症が残っているうちに刺激の強いビタミンCを塗ると、かえって肌への負担になります。
まず炎症を鎮めてから使うのが正しい順序です。
ステップ④ 日焼け後こそ日焼け止めを忘れずに
日焼けをした後の肌は、バリア機能が低下しているため、通常より紫外線のダメージを受けやすい状態になっています。
翌日以降も日焼け止めをしっかり塗ることが、色素沈着の悪化を防ぐ重要なポイントです。
日常的に続けたい「肌を守る」科学的スキンケア習慣
習慣① 年間を通じて日焼け止めを使う
紫外線は夏だけのものではありません。
春・秋も紫外線量は決して少なくなく、冬の晴れた日の雪面反射も要注意です。
年間を通じたUVケアの習慣化が、光老化を最も効果的に防ぎます。
習慣② 抗酸化ケアを食事と外用の両面から取り入れる
<ポイント>
紫外線によって発生する活性酸素に対抗するには、抗酸化物質を「食べる」ことと「塗る」ことの両方が有効です。
食事から摂れる抗酸化成分として、ビタミンC(柑橘類・ブロッコリーなど)、ビタミンE(ナッツ・アボカドなど)、ポリフェノール(ベリー類・緑茶など)があります。
スキンケアとしては、ビタミンC誘導体・ナイアシンアミド・レチノールなどの成分が科学的に有効とされています。
あわせて習慣化したいのが、内側からコンディションの土台を整えるケアです。
食事で抗酸化成分を補うのと同様に、日々の生活に乳酸菌を上手く取り入れて体内環境を整えることも、揺らぎにくい肌や身体を育む上では欠かせない視点です。
外からのケアで守り、内側からは乳酸菌で健やかさを巡らせる。
この両輪を回すことが、長期的な美しさと健康を維持する鍵となります。
習慣③ 丁寧な洗顔で肌バリアを守る
強くこする洗顔は、肌のバリア機能を破壊します。
泡をしっかり立てて、泡でやさしく包み込むように洗うのが正解です。
洗顔後はすぐに保湿を行い、肌が乾燥した状態が続かないようにすることが大切です。

習慣④ 睡眠中の肌の回復力を最大化する
肌の修復は、睡眠中に分泌される成長ホルモンによって促されます。
特に夜22時〜深夜2時の間に質の高い睡眠を取ることが、肌の回復効率を高めます。
就寝前に保湿を丁寧に行い、肌に修復材料をしっかり届けた状態で眠りましょう。
習慣⑤ 物理的なUVブロックを活用する
日焼け止めだけに頼らず、日傘・帽子・UVカット素材の衣類・サングラスを組み合わせることで、紫外線への暴露そのものを減らせます。
特に肌への直接塗布が難しい頭皮・唇・手の甲などは、物理的なブロックが有効です。

おわりに
日焼けのケアとスキンケアは「何となくやる」から「仕組みを理解してやる」に変えるだけで、効果が大きく変わります。
日焼け止めの正しい量・塗り直し・PA値の確認。
日焼けした後の冷却→保湿→ビタミンC。
そして年間を通じた抗酸化・保湿・睡眠の習慣。
どれも特別な努力は必要ありません。
「知っているかどうか」がそのまま、10年後・20年後の肌の差になります。
今日から「賢いスキンケア習慣」を始めてみてください。
橋本 将吉先生プロフィール

内科医。『西新宿セルフライフ内科クリニック』院長。
登録者数86万人超えのYouTubeチャンネル『ドクターハッシー/内科医 橋本将吉』にて 健康教育を発信している。2011年に「医学教育という専門領域から、日本と世界の明るい未来を創造する」という理念のもと、株式会社リーフェホールディングス(旧株式会社リーフェ)を設立。
医学生向けの個別指導塾『医学生道場』を運営するほか、2022年9月には健康や医学を医師から学べるサービス『リーフェアカデミー(旧:ヘルスケアアカデミー)』をリリースし、企業や学校等でのセミナーも展開している。
2023年11月には、現役医師の目線から日々を健康に暮らすためのアイテムを扱うライフスタイルブランド「ハシモトマサヨシ」を立ち上げ、乳酸菌飲料「乳酸菌V28」などの商品を展開している。
「櫻井・有吉THE夜会」「林修の今、知りたいでしょ!」「めざましどようび」など多数のテレビ番組に出演。
著書に『薬のトリセツ』(自由国民社)、『「老いても元気な人」と「どんどん衰えていく人」ではなにが違うのか』(アスコム)などがある。
リーフェホールディングス:https://li-fe.co.jp/
医学生道場:https://igakuseidojo.com/
リーフェアカデミー:https://healthcare-academy.co.jp/
ハシモトマサヨシ:https://hashimotomasayoshi.co.jp/
