• 土. 6月 13th, 2026

【ドクターハッシー/内科医 橋本将吉の健康コンパス】 第10回 むくみ解消も!雨の日でもパフォーマンスを落とさない対処術

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YouTubeやメディアでも活躍する内科医・橋本将吉先生(ドクターハッシー)が、ヘルスリテラシーを高めるための実践的な 健康知識をお届けする連載。医師だからこそ伝えられる“正しい情報”を月替わりテーマで解説します。

診察室ではこの時期「むくみがひどい」とお悩みを話してくださる患者様が多くいらっしゃいます。
第10回は、雨の日特有のむくみのメカニズムと、どんな天気でも調子を崩さないためのパフォーマンス維持術をお届けします。

内科医の橋本将吉(ハシモトマサヨシ)です。
前回は「梅雨バテ」のメカニズムと全体的な対処法をお伝えしました。
今回は梅雨の時期こそ悩みの多い「むくみ」にフォーカスしながら、雨の日でも身体と頭をしっかり動かすための具体的な方法をお伝えします。

そもそも「むくみ」ってどうして起きるの?

雨の日のむくみを理解するには、まずむくみが起きるそもそものメカニズムを知っておく必要があります。
私たちの身体の中には、血液が流れる「血管」と、リンパ液が流れる「リンパ管」という2種類の管が張り巡らされています。
血管の中を流れる血液は、毛細血管(細い血管)を通じて細胞に酸素や栄養を届けています。
このとき、血液の液体成分(血漿)の一部が血管の外ににじみ出て、細胞のまわりに「組織液」として満ちています。
通常であれば、この組織液はリンパ管に回収されたり、再び血管に吸収されたりして一定のバランスが保たれています。
しかし、何らかの原因でこのバランスが崩れ、組織液が過剰に溜まった状態がむくみ(浮腫)です。

むくみが起きる主な原因

1.血流が滞る:長時間同じ姿勢でいると、静脈の流れが悪くなり、血管から水分がにじみ出やすくなる

2.塩分の摂りすぎ:ナトリウムが増えると体内に水分を引き寄せる作用が強まり、組織に水が溜まりやすくなる

3.リンパの流れの停滞:運動不足や筋力低下により、リンパ液を押し流すポンプ機能が弱まる

4.水分・タンパク質不足:血液中のタンパク質(アルブミン)が減ると、血管内に水分を引き留める力が弱まり、組織に水が溜まりやすくなる

5.ホルモンバランスの変化:月経前や妊娠中はホルモンの影響で水分を溜め込みやすくなる

むくみ自体は病気ではなく、生活習慣や環境の変化に対する身体の反応です。
ただし、心臓・腎臓・肝臓などの疾患が原因でむくみが起きる場合もあります。
急に強いむくみが現れたり、押しても戻らないほどのむくみが続いたりする場合は、医療機関を受診してください。

なぜ雨の日はむくみやすいのか?

「雨の日はなんとなく顔や足がむくんでいる気がする」——これは気のせいではありません。気圧の低下が、身体の水分バランスに直接影響を与えているのです。

1.気圧が下がると血管が広がる
気圧が低くなると、外から身体を締めつける圧力が弱まります。
その結果、血管が広がりやすくなり、血管の壁から水分が周囲の組織ににじみ出やすくなります。
これが「むくみ」の正体です。

2.リンパの流れも滞りやすくなる
むくみの解消に重要なのが、リンパ系の働きです。リンパ管は血管のそばを走っており、組織に溜まった余分な水分を回収する役割を担っています。
しかし低気圧の影響で血管が拡張すると、リンパの流れも滞りやすくなり、水分の回収が追いつかなくなります。

3.自律神経の乱れが拍車をかける
気圧の変化は自律神経にも影響を与えます。
自律神経が乱れると、血流調節がうまくいかなくなり、末梢(手足など体の末端)への血液の巡りが悪化します。
その結果、足や手のむくみがより強く出やすくなるのです。

むくみが「パフォーマンス低下」につながる理由

むくみは見た目の問題だけでなく、身体と頭の働きにも影響を与えます。
足のむくみが強くなると、下半身の血液循環が悪化し、全身に酸素や栄養が行き渡りにくくなります。
それが疲れやすさ・集中力の低下・思考のもたつき感として現れます。
また、むくんだ状態では関節の動きが制限されることもあり、身体を動かすことへのおっくうさにもつながります。
「雨の日はなんだかやる気が出ない」の背景には、こうした身体の変化が隠れているのです。

むくみの種類を知っておこう
一口に「むくみ」といっても、出る場所や原因によっていくつかの種類があります。
自分のむくみがどのタイプかを把握しておくと、対処法をより的確に選べます。

① 末梢性浮腫(まっしょうせいふしゅ)——足・手のむくみ
最も多いタイプで、足首や足の甲、手の指などに現れます。
長時間の立ち仕事や座りっぱなし、運動不足によって血液やリンパ液が下半身に溜まることで起きます。
夕方になるほど強くなるのが特徴で、翌朝には自然に軽減していることが多いです。

② 顔のむくみ
朝起きたときに顔がパンパンに感じるのは、横になっている間に顔に水分が溜まりやすくなるためです。
塩分の摂りすぎ・アルコール・睡眠不足・気圧の変化などが主な原因です。
気圧が低い雨の日の朝に特に強く出やすいのもこのタイプです。

③ 気圧性浮腫——雨・低気圧によるむくみ
気圧の低下によって血管が拡張し、血管壁から水分が組織ににじみ出ることで生じます。
全身にじわっと広がるような重だるさを伴うのが特徴で、天気の変わり目に症状が出る方はこのタイプが関係していることが多いです。

④ ホルモン性浮腫
月経前や妊娠中に、女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)の影響で体内に水分を溜め込みやすくなります。
月経が始まると自然に解消されることが多く、病気によるむくみとは区別されます。

⑤ 疾患によるむくみ(要注意)
心臓・腎臓・肝臓の機能低下や、甲状腺の異常などが原因でむくみが起きる場合があります。
押してもなかなか戻らない、急に強いむくみが出た、全身がむくんでいるといった場合は、生活習慣によるむくみではなく疾患のサインである可能性があります。
放置せず早めに医療機関を受診してください。

日常的なむくみの多くは①〜④に当てはまる生活習慣・環境によるものです。
以下の対処術は、これらのタイプに有効なケア方法です。

むくみ解消&パフォーマンスを守る対処術

対処術① 「ふくらはぎポンプ」でリンパを流す
POINT ふくらはぎは「第二の心臓」。意識的に動かすことがむくみ解消の近道です。
座ったままでできる「かかと上げ・つま先上げ」を1セット10回、1時間に1回程度行いましょう。
ふくらはぎの筋肉が収縮・弛緩を繰り返すことで、静脈血とリンパ液が心臓へ向かって押し上げられます。
仕事中でもデスクの下でできるので、ぜひ習慣にしてください。

対処術② 「水を飲む」がむくみを解消する
POINT むくんでいるからといって水分を控えるのは逆効果です。
むくみが怖くて水を飲まずにいると、身体は「水が不足している」と判断してかえって水分を溜め込もうとします。
こまめに水分をとることで、腎臓が余分な水分を尿として排出するサイクルが促されます。
1日1.5〜2Lを目安に、少量ずつ分けて飲む習慣をつけましょう。

対処術③ カリウムを食事に取り入れる
POINT ナトリウム(塩分)を排出するカリウムが、むくみ解消のカギです。
むくみはナトリウムが体内に過剰になることで悪化します。
カリウムにはナトリウムの排出を促す働きがあり、むくみを内側から改善するのに役立ちます。
カリウムが豊富な食品の例:バナナ・アボカド・ほうれん草・小松菜・きゅうり・納豆・さつまいもなど。
梅雨の時期の食事に意識的に取り入れてみてください。

対処術④ 「セルフリンパマッサージ」で即効ケア
POINT 優しくなでるように行うのがポイント。強く押しすぎないこと。
リンパ液はとても繊細な流れなので、強い圧力より「皮膚をやさしく動かす」程度の刺激が効果的です。

脚のむくみ:足首→ひざ裏→太もも付け根の順に、手のひらで軽くさするように流す
顔のむくみ:耳の下→鎖骨の方向へ、指の腹でやさしくなでる
手のむくみ:手の甲から手首→ひじ→わきの方向へ、軽く流すように
入浴後や朝の洗顔後など、皮膚が温まっているタイミングに行うと効果が出やすくなります。

対処術⑤ 「集中力を守る」環境づくり
POINT 雨の日のパフォーマンス低下は、環境を整えることで補えます。
気圧の影響で脳の働きが鈍くなりやすい雨の日は、作業環境そのものを整えることが助けになります。

照明を明るくする:曇りで暗くなりがちな室内は、照明を昼光色(白っぽい色)にして日光不足を補う
室温と湿度を調整する:室温26〜28℃・湿度50〜60%が集中しやすい環境の目安
タスクの優先順位を絞る:雨の日は「今日は3つだけ」と決めて、集中すべきことを絞り込む
こまめに席を立つ:30〜45分に1回立ち上がり、血流を促すことで頭の回転も維持しやすくなる

対処術⑥ 「入浴でむくみをリセット」
POINT 38〜40℃のお湯に15〜20分ゆっくり浸かることが基本です。
温浴には血管を広げて血流を促す効果があり、体内に溜まった余分な水分を循環させてむくみを解消するのに役立ちます。
浴槽につかりながら足首をグルグル回したり、ふくらはぎを軽くもんだりすると、リンパの流れをさらに促せます。
シャワーだけで済ませる日が多い方は、週に2〜3回でもよいので湯船につかる日を作ってみてください。
その際、お湯の質にも少しこだわって、古くから身体を温めることで知られる生姜(ショウガ)のエキスや、自然の恵みが詰まった入浴剤をプラスしてみるのもおすすめです。
末梢血管を拡張して血流を促すことで、入浴後の深部体温の低下を緩やかにし、冷えや循環不全による滞りを効果的に和らげる効果も期待されます。

やりがちなNG習慣

❌ むくんでいるからと水分を控える
水分を減らすと体内の循環が滞り、むくみは悪化します。こまめな水分補給がむくみ解消の基本です。

❌ 塩辛いものを食べすぎる
ナトリウムの過剰摂取は体内の水分を引き寄せ、むくみを悪化させます。
雨の日はとくに薄味を意識してみましょう。

❌ ずっと同じ姿勢でいる
座りっぱなし・立ちっぱなしはリンパの流れを停滞させます。
30〜45分に1回は体を動かしましょう。

❌ 「雨だから仕方ない」と諦める
気圧の影響は避けられませんが、対処できることはたくさんあります。
「雨の日モード」の対処法を持っておくだけで、身体の感覚はかなり変わります。

おわりに

雨の日のむくみやパフォーマンス低下は、気圧・自律神経・血流の乱れが重なって起きるものです。
「雨だからしょうがない」ではなく、身体の変化を理解したうえで先回りしてケアすることが大切です。

今日ご紹介した対処術は、どれも日常の中に組み込める小さな工夫ばかりです。
ふくらはぎを動かす・水を飲む・食事にカリウムを加える・照明を整える
——そのひとつひとつが、雨の日の「なんとなく重い」をじわじわと解消していきます。
天気に左右されない自分の身体づくりを、今日からはじめてみましょう。

橋本 将吉先生プロフィール

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内科医。『西新宿セルフライフ内科クリニック』院長。
登録者数86万人超えのYouTubeチャンネル『ドクターハッシー/内科医 橋本将吉』にて健康教育を発信している。2011年に「医学教育という専門領域から、日本と世界の明るい未来を創造する」という理念のもと、株式会社リーフェホールディングス(旧株式会社リーフェ)を設立。医学生向けの個別指導塾『医学生道場』を運営するほか、2022年9月には健康や医学を医師から学べるサービス『リーフェアカデミー(旧:ヘルスケアアカデミー)』をリリースし、企業や学校等でのセミナーも展開している。
2023年11月には、現役医師の目線から日々を健康に暮らすためのアイテムを扱うライフスタイルブランド「ハシモトマサヨシ」を立ち上げ、乳酸菌飲料「乳酸菌V28」、入浴剤「いい湯ジャー」などの商品を展開している。
「櫻井・有吉THE夜会」「林修の今、知りたいでしょ!」「めざましどようび」など多数のテレビ番組に出演。著書に『薬のトリセツ』(自由国民社)、『「老いても元気な人」と「どんどん衰えていく人」ではなにが違うのか』(アスコム)などがある。

リーフェホールディングス:https://li-fe.co.jp/
医学生道場:https://igakuseidojo.com/
リーフェアカデミー:https://healthcare-academy.co.jp/
ハシモトマサヨシ:https://hashimotomasayoshi.co.jp/

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