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味の素(株)「ビクトリープロジェクト®」活動報告会

Byranchan

9月 14, 2021 #柔道, #空手

アスリートをサポートする企業の取り組み

味の素株式会社(以下、味の素)が2021年9月9日(木)、味の素グループ高輪研修センターにて、ゲストに金メダリスト柔道の阿部一二三選手・阿部詩選手を迎え、味の素(株)「ビクトリープロジェクト®」東京2020オリンピック競技大会におけるアスリートサポート活動報告会を実施した。
オンライン取材に参加したRanRunの学生スタッフが、アスリートのサポートとして行われている企業の取り組みについてレポートする。

ビクトリープロジェクト
ビクトリープロジェクトとは、味の素が2003年からJOCと共同で開始したオリンピック日本代表選手強化支援事業だ。
日本代表選手のメダル獲得数増・国際競技力向上のために、「食」と「アミノ酸」の技術やノウハウを用いたコンディショニングサポートを推進している。
また、2009年5月には国立スポーツ施設として「味の素ナショナルトレーニングセンター」を設立し、初のネーミングライツを導入した。
ここでは、オリンピック日本代表選手の国際競技力向上のため、「勝ち飯」などサポート活動を展開している。

ビクトリープロジェクトのサポートサイクル

情報提供・教育 練習・合宿時に「勝ち飯」勉強会を実施。加えて、各々の課題に応じた情報を提供
「勝ち飯」体験 味の素ナショナルトレーニングセンターにて「勝ち飯」プログラムを体験
強化期の実践選手の自宅や合宿先での継続的な「勝ち飯」の実践
大会本番での実践大会期間中、選手と綿密な打ち合わせに基づいて作成した、個別栄養摂取プランを実践

2016年のリオ大会では30万本、2018年の平昌大会では18万本のアミノ酸製品を提供、そして今回の東京大会では60万本提供した。
一方的に栄養の情報を提供するのではなく「なぜ必要なのか」「今何が足りていないのか」を選手と一緒に考えることでより良いサポートができている。

東京2020大会での活動「G-road station」
自国開催だからこそ見えていた2つの課題がある。
「暑さによる食欲低下」と「緊張による精神疲労」だ。
そこで「試合に勝つために必要な栄養素を補給」するなど戦略的栄養サポートを行う体制を構築した。
アミノ酸をフル活用し、日本代表選手の栄養課題の解決を目的としたサポートを実践。
「エネルギー補給メニュー」と「疲労回復メニュー」の2つのコンセプトから、試合期(試合前・当日)に利用する選手が迷わず必要な栄養素を摂ることができるよう工夫した。
「うま味」のアミノ酸を活用し、食欲が出るメニューを飽きさせないよう日替わりで提供した。
湿度の高い日本の暑さ対策という戦略はとても重要だ。
ビュッフェ形式は好きな量を取れるというメリットがある反面、自分に必要な栄養素はどの料理なのか迷ってしまうというデメリットもある。
2つのコンセプトでメニューを用意することで、選手にとっては今自分に必要なものを選択しやすくなり、デメリットを改善した。

提供メニューの工夫
「エネルギー補給メニュー」では、白いご飯が進むよう味付けを少し濃くし、豚肉を使いビタミンB1が摂取できるようにした。
疲労回復メニューではビタミンA,C,Eを豊富にし、優しい味付けにした。
特に選手から人気だったというのがアスリート餃子だ。
もちろん、普通の餃子ではなく、目的別に2種類作られている。
「エナジーギョーザ」は皮が少し厚めで小ぶり。
これにより自分たちで食べる量を細かく変えられるようになっている。
「コンディショニングギョーザ」は具材に緑黄色野菜をふんだんに使用。
これらの餃子は低脂質で油を気にせず食べることができるという声が多かったそうだ。
また、食事をするブースに入る前には、アミノ酸の働きを感じてもらうため「飲むおだし」を用意。
使用したかつお出汁は精神疲労・ストレスの改善する作用を有することがわかっている。
選手たちからは「食欲が出た」「気持ちがスーッと楽になった」「癒された」という声があった。
他にもアスリート向けのケーキを提供。
たんぱく質もしっかりと摂ることができ、栄養補給もできることから好評だったという。
栄養を気にするあまり、食べられるものが偏ってしまうことがないように、スイーツや餃子など普段から食べているものを工夫する。
これは選手にとってストレスの緩和にもつながるメンタル的なサポートにもなっていたのではないだろうか。

空手日本代表チームのサポート「バテ」を防ぐためのニュートリションプラン
オリンピック・パラリンピック推進室ビクトリープロジェクトチーム ディレクターの上野 祐輝氏が、空手日本代表チームのサポートについて報告した。
報告のなかで、選手たちの試合前日の様子を紹介。
選手たちが机に向かい、真剣になにかを書いている。
ベストコンディションで戦うために「いつ」「何のために」「何を摂るか」栄養の戦略を練り、可視化することを目的としたニュートリションプランを作成したいたのだ。
空手は2時間で準決勝までおよそ4,5試合行うという特徴がある。
以前の選手たちは、初戦の前に栄養を摂り、準決勝後にまた摂るというスタイルだったため、試合ごとの間で十分に補食を摂ることができておらず、バテてしまっていた。
これを改善するため、試合と試合のインターバルでエネルギー系のアミノ酸をこまめに摂取し、エネルギー源となる糖質を補給すること、試合開始前にコンディショニング系アミノ酸を摂取し「最後まで崩れない」をサポートした。
選手自身にどのタイミングでどんなものを食べるかを考えさせる。

自分と向き合うことで栄養の大切さを知る機会を提供する、そうした企業の取り組みも重要なサポートになっている。

取材 RanRun学生スタッフ 小林七葉(昭和女子大学)

(2021年9月掲載記事リライト)